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【令和4年最新版】副業で法的に会社と労働者が気をつけるべきこと【社会保険法編】

過去記事の「副業について法的に会社と労働者が気をつけるべきこと」というシリーズに関して、古くなった内容の刷新、現行法にあった内容にブラッシュアップするためのシリーズ。

今回は社会保険法編です。

なお、本シリーズで言う副業・兼業とは原則、個人・フリーランスで副業・兼業をする場合は含めず、複数の会社で雇用されて働くダブルワーク形式のものをさすので、あらかじめご了承ください。

 

2016年からほぼ何も変わっていない社会保険と副業・兼業

さて、社会保険と副業・兼業について書いたのが2016年ですが、実はその頃と比べて社会保険の副業・兼業に関係するような法改正は特に行われていません。

なので、今回は2016年に書いた記事のおさらい、復習が主になります。

 

社会保険は複数の事業所でも加入可能

2つ以上の事業所で加入可能、ただし・・・

まず、大前提として雇用保険や労災保険と違い、社会保険は2つ以上の事業所で加入することができます。

2つ以上の事業所で加入する場合、それぞれの事業所の給与を合算した額で標準報酬月額も算定されます。そのため保険料は上がりますが、将来の給付額も上がります。

ただし、2つ以上の事業所で加入する場合、個々の事業所それぞれで加入条件満たしていないといけません。

つまり、雇用保険のマルチジョブホルダー制度のように「1つの事業所だけだと無理だけど、2つの事業所を合わせると加入条件を満たす」という場合は認められないわけです。

 

それぞれの事業所で加入条件満たす必要あり

この、個々の事業所それぞれで加入条件を満たす、という条件は、かつてはかなり限られた人しか満たすことができませんでした。

なぜなら、社会保険の加入条件として所定労働時間が通常の社員の4分の3以上、という条件があったからです。

なので、本業・副業共に通常の社員の所定労働時間が40時間という場合、本業で週30時間、副業で週30時間働かないと、2つの事業所で合算して社会保険に加入する、ということはできませんでした。

一方で、常勤の会社役員の場合、労働時間という概念はありませんが、社会保険への加入は可能です。

そのため、一つの事業所で役員、他の会社で労働者という場合や、2つ以上の事業所で会社役員という場合、複数の事業所で社会保険に加入するということはできます。

こうした理由から、かつては、2つ以上の事業所で加入というのは会社役員にしか関係のない制度となっていました。

 

特定適用事業所の範囲が拡大される今年の10月以降は要注意

しかし、2016年10月より501人以上の会社は特定適用事業所という扱いとなり、社会保険加入の条件が変わりました。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
  3. 1年以上継続して雇用される見込みがある(令和4年10月より、通常の被保険者と同じ雇用期間が2か月を超えて見込まれることに変更)
  4. 従業員501人以上の企業(従業員の数に含めるのは現行の被保険者)
  5. 学生でない

 

上記のうち、特に大きいのが労働時間の条件が「通常の社員の4分の3」から「週20時間」まで引き下がっている点です。

これにより、本業で週20時間、副業でも週20時間で働いても法定の週40時間に収まるため、極端な過重労働をしなくても2つの事業所で社会保険に加入できるようになりました。

しかも、今年の10月には特定適用事業所の範囲が501人以上から101人以上に、2年後の2024年からは51人以上に広がります。

これにより、本業は特定適用事業所だけど、副業は特定適用事業所ではない(つまり、労働時間が「4分の3以上」ないと社会保険に入れない)ということも減るはずです。

そのため、複数の事業所で社会保険の加入条件を満たすという労働者は、今後ますます増えていくことでしょう。

 

まとめ

働き方改革以降、副業・兼業そのものに関連する社会保険の法改正はありません。

一方で、特定適用事業所の範囲の拡大により、複数の事業所で社会保険の加入条件を満たす労働者が出てくる可能性が高いことには注意が必要です。

複数の事業所で社会保険の加入条件を満たす場合、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本業側の会社が提出する必要があります。

 

今日のあとがき

ちょっと前に、17年使っていたMDコンポがついに壊れました。

さすがに晩年はMDを聞いたり、MDに録音したりということはしてませんでしたが、パソコンのスピーカーとして重宝していたのでちょっと困りました。

PC用のスピーカーを買おうとも思ったのですが、PC用のスピーカーってスピーカー自体が小さいしワット数も控えめなので、なんか音に迫力がないんですよね。

当然、良いもありますが、そういうのはちょっとお高め。

なので、壊れたコンポのスピーカーを生かす目的で、こちらのアンプを購入。

悪くはないけど、やっぱりちょっと前のコンポに比べると音が貧弱になった気がするので、もう少しだけいいのを買えばと若干後悔しています。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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