ここまで4回にわたって働き方改革の復習・振り返りを兼ね、働き方改革でテーマとなっていた項目の現在の状況について見てきましたが、それも今回がラスト。
今回は1つの記事としてまとめるには文字数が足りないというか、小粒な項目について見ていきます。
この記事の目次
特定高度専門業務・成果型労働制
制度はすでに開始されていますが、開始前から懸念されていたように、あまりにも条件が厳しすぎて、導入企業は少ないようです。
また、今のところ、本制度導入の際に懸念されていた対象者の拡大という話は出てないようです。
以下の記事は法改正前に書かれたものですが、実際に施行されたものと変更はありません。
年5日の有給取得義務化
こちらの年5日の有給取得、働き方改革関連法の中でも施行日が一番早かったこともあり、どこの会社でもすでに対応済みのところが多いのではないでしょうか。
もし、まだやってないというのであれば、本制度の違反には罰則もあるので、悪いことは言わないので早く対応した方がいいと思います。
おそらくですが、コロナ収束後はこれの調査がどこの会社にも入ると思うので。
ちなみに、この年5日の有給取得と先ほどの高度プロフェッショナル制度は、働き方改革以前から制度導入が予定されていたのですが、紆余曲折を経て働き方改革に組み込まれました。
勤務間インターバル
会社の努力義務として始まった勤務間インターバルですが、現在も努力義務のままで法律上の動きはありません。
この勤務間インターバル導入にあたっては、助成金が設けられているので、導入をお考えの場合はそちらを利用も検討すべきでしょう。
高齢者の就業促進
こちらについては、働き方改革関連法成立からしばらくは大きな動きがなかったものの、今年の4月に改正法が施行された高年齢者雇用安定法等、ここに来て、様々なことが動き始めたといった感じですね。
わたしの方でも本を書かせていただいたので、詳しくはそちらをどうぞ。
女性・若者の活躍
女性の活躍については令和元年5月に女性活躍推進法が改正され、順次施行が開始されています。
すでに施行されているものでいうと、まず、令和2年6月より、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、
(1)職業生活に関する機会の提供に関する実績
(2)職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
の各区分から1項目以上を公表することとなっています。
そして、同じく令和2年6月には、えるぼし認定(女性の活躍推進に関する状況等が優良な事業主の方への認定)のさらに上、プラチナえるぼし認定が開始されています。
また、これからの改正で言うと、来年4月(令和4年4月)より、一般事業主行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表が義務化される事業主の規模が、常時雇用する労働者が301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。
女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)(厚生労働省HP)
このように、女性の活躍については多くの動きがあった一方、若者の活躍については特に大きな動きがないのが現状です。
病気の治療、子育て・介護との仕事の両立、障害者の就労
病気の治療に関しては、働きながら病気の治療をする労働者へのサポートとして「会社、主治医、両立支援コーディネーター」の三者によるトライアングル型サポートが提唱されていましたが、まあ、特に動きはありませんね。
子育て・介護との仕事の両立については昨年の1月に、子の看護休暇及び介護休暇の時間単位取得が可能となっています。
障害者の就労についても、今年の3月に、以前から予定されていた法定雇用率の引上げがようやく行われました。
これにより、一般企業の法定雇用率は現在2.3%となっており、従業員が43.5人以上の会社が障害者雇用義務化の対象となります。
まとめ
以上です。
こうして、働き方改革を振り返ってみると、3年経って、ようやく、働き方改革関連法で改正された法律の施行は終わってきたのかな、という印象。
ただ、じゃあ、働き方改革で問題とされたような長時間労働だとか、正規と非正規の格差といった様々な問題が解決したかといえばそんなことはなく、そういった意味では今後も働き方改革自体は続いていくし、今後もそうした問題を解決するため法改正は行われていくのでしょう。