助成金 働き方改革

あれから3年、働き方改革法等の施行の進捗状況は? テレワーク編

2021年5月13日

今回も働き方改革に関連する法制度の施行状況等を確認していきたいと思います。

今日はテレワークについて。

 

テレワークに関する法改正等はもともと行われていない

昨今の社会情勢により急激に普及の進んだテレワークですが、実はこのテレワークも働き方改革のテーマの一つとなっていました。

ただ、働き方改革のテーマになっていたとはいえ、働き方改革関連法等でテレワークのための法改正等は行われてはいません。

そのため、働き方改革におけるテレワークは、あくまで行政の呼びかけ(ガイドラインや指針)、助成金等で普及を目指すこととされていました。

こうしたこともあり、働き方改革の開始以降、テレワークに関するガイドラインは積極的に改定されています。

加えて、昨今の社会情勢に合わせてさらなる最新版として、厚生労働省が出している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」は今年の2月に最新版が公表、総務省が出している「テレワークセキュリティガイドライン」については第5版が近々公表される予定です。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(リンク先PDF 出典:厚生労働省

テレワークセキュリティガイドライン(第5版)(案)(リンク先PDF 出典:総務省

 

やけに名前が変わるテレワーク助成金

では、テレワークに関する助成金に関してはどうかというと、実は働き方改革が始まる前から制度導入を推進する助成金が存在します。

そして、以降、以下のように、何度か大本の助成金の名前が変更されたり、別の助成金へと管轄が移行されたりしています。

2014年4月~ 職場意識改善助成金(テレワークコース)

2016年4月~ 時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

2020年4月~ 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

2021年4月~ 人材確保等支援助成金(テレワークコース)

 

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

上記のとおり、今年度からテレワーク助成金は働き方改革推進支援助成金ではなく、人材確保等支援助成金の1コースに変更されています。

では、人材確保等支援助成金の1コースに変更されたテレワークコースの助成とはどういったものなのでしょうか。

 

人材確保等支援助成金(テレワークコース)の受給対象となる事業主

働き方改革推進支援助成金同様、本助成金は中小事業主を対象とするもので、大企業は対象外となります。

 

人材確保等支援助成金(テレワークコース)の受給対象となる取組

助成金の対象となる取組について、人材確保等支援助成金と働き方改革推進支援助成金とで大きな変更はありません。

テレワークの新規導入にあたって、以下のような取組をした場合に、それにかかった費用のいくらかを助成する、というのがテレワークの助成金の変わらない特徴となっています。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給対象となる取組

  1. 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  2. 外部専門家によるコンサルティング
  3. テレワーク用通信機器の導入・運用
  4. 労務管理担当者に対する研修
  5. 労働者に対する研修

 

人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給額

人材確保等支援助成金(テレワークコース)では、「機器等導入助成」と「目標達成助成」の2つの助成内容が用意されています。

 

機器等導入助成

まず、前者の機器等導入助成はこれまでのテレワーク助成金のように、テレワークのために購入した機器の費用等を助成するもので、助成内容は以下の通り。

支給額 上限額
1企業あたり、支給対象となる経費の30%
  • いずれか低い方の金額
    1企業あたり100万円
    テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

ちなみに、購入した機器やその他経費についても、以下のように上限が設けられています。

テレワーク用通信機器の導入・運用

  • ネットワーク機器(15万円)
  • サーバ機器(50万円)
  • NAS機器(10万円)
  • セキュリティ機器(30万円)
  • ウェブ会議関係機器(1万円/対象労働者1人)
  • サテライトオフィス利用料(30万円)

労務管理担当者に対する研修(10万円)

労働者に対する研修(10万円)

外部専門家によるコンサルティング(30万円)

就業規則・労使協定等の作成・変更(10万円)

 

目標達成助成

一方、後者の「目標達成助成」とは、テレワーク導入後の「離職率に係る目標を達成」した場合にもらえるものです。

離職率に係る目標、というのは当然、離職率を下げることをいい、この目標を達成した場合、以下の助成額がもらえます。

支給額 上限額
1企業あたり、支給対象となる経費の20%

(生産性要件を満たした場合は35%)

  • いずれか低い方の金額
    1企業あたり100万円
    テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円

上記の「支給対象となる経費」とは機器等導入助成の経費と同一です。

つまり、この助成金では、機器等導入助成と目標達成助成を合わせて、かかった費用の最大50%(生産性要件を満たす場合は65%)の経費助成が行われるわけです。

 

働き方改革推進支援助成金と比較すると・・・

ちなみに、働き方改革推進支援助成金のテレワークコースでは、離職率の目標の達成に関係なく経費の2分の1(成果目標を達成した場合は3分の4)が助成されていました。

ちなみにのちなみに、受給の対象となる取組は働き方改革推進支援助成金と人材確保等支援助成金でほぼ同一です。

なので、昨年度から今年度に賭けて、テレワーク助成金は実質的に縮小されたといえます・・・。

 

人材確保等支援助成金に関する詳しい内容等は、以下のリンク先の厚生労働省のHP等をご確認ください。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

 

まとめ

すでに述べたように、テレワークについては直接的な法改正は行われていないため、法的な問題点や注意点については働き方改革以前から変わるものはありません。

そして、正直な話、テレワークに関しては働き方改革の手を離れた、といってもいいのかもしれません。現状の社会情勢では、働き方改革にかかわらずテレワークが求められているので。

ただ、テレワークの実施率に関しては、緊急事態宣言が出れば上がるし、宣言が終わると下がるというデータもあるため、コロナ禍収束後もテレワークが定着するのかについては深くてない部分がありそうです。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所(名古屋)の代表。 人事労務と無関係に暮らしてたはずが、社労士だった叔父の病気を機に猛勉強。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」など専門誌への寄稿、中日新聞での短期連載など、メディアでの執筆実績も多数

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