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あれから3年、働き方改革法等の施行の進捗状況は? 時間外労働の上限規制編

週末にこんな記事を見つけました。

「働き方改革」の具体的な取り組み 3位「長時間労働の是正」、2位「残業の削減」、1位は?

1位が何かは、リンク先をご確認ください。

 

働き方改革関連法成立から早3年

思えば、働き方改革関連法が成立したのが2018年の6月、また、当時の安倍内閣の大号令で立ち上げられた働き方実現会議の第一回が行われたのが2016年の9月です。

なので、働き方改革が言われるようになってすでに5年近くが経過していることになります。

これだけの時間が経っていれば、働き方改革が始まった時点、あるいは働き方改革関連法が成立した時点では、まだまだ先のこととされていたことも、今ではすでに適用済みというものも増えています。

そのため、今回からしばらくは、働き方改革の振り返り、復習、今後の会社の対応等の検討を兼ね、働き方改革でテーマに挙げられていた項目の進捗等を確認していきたいと思います(働き方改革の「検証」ではないためご注意を)。

前置きが長くなりましたが、初回は「時間外労働の上限規制」です。

 

ほとんどの会社で「時間外労働の上限規制」は適用済み

働き方改革の目玉の一つだったのが「時間外労働の上限規制」です。

労働基準法改正案から年間720時間の「時間外労働の上限規制」や「労使協定」を解説

こちらは大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から制度が開始されています。

しかし、会社に正式に適用されるのは、36協定の起算日が制度開始日以降の36協定からだったので、中小企業の中には今年の3月くらいまで旧制度の適用だったところも多いかと思います。

(例えば、中小企業で2020年3月21日が起算日の36協定を結んでいた場合、2021年3月20日まで旧制度が適用されていました。)

ただ、2021年4月以降は原則としてほぼ全ての事業場でこの「時間外労働の上限規制」が適用されています。

 

まだ、時間外労働の上限規制が適用除外・適用猶予されている業務・業種も

一方で、以下のように、例外的にこの「時間外労働の上限規制」がまだ適用されていない業務・業種もあります。

適用除外

  • 新技術、新商品等の研究開発の業務

適用猶予

適用猶予事業 適用猶予の期間 適用猶予終了後の扱い
工作物の建設等の事業 2024年3月31日まで
  • 一般則を適用
  • ただし、災害時における復旧及び復興の事業については「単月で100時間未満」及び「2か月ないし6か月平均で80 時間以内」の適用はなし
自動車の運転の業務 2024年3月31日まで
  • 特別条項の限度時間を超えて働かせられる月数(1年のうち6か月以内)の適用なし
  • 「単月で100時間未満」及び「2か月ないし6か月平均で80 時間以内」の適用なし
  • 1年について労働時間を延長して労働させることができる時間の制限は960時間を超えない範囲
医業に従事する医師 2024年3月31日まで
  • 医業に従事する医師のうち医療の提供の状況等を勘案し、限度時間、特別条項の上限の時間等を労働者の健康及び福祉を勘案して厚生労働省令で定める
  • 省令で別で定めるため、限度時間の一般則となる「1か月45時間、1年360時間」の適用はなし
鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業 2024年3月31日まで
(限度時間および年間上限720時間については施行日から適用済み)
一般則を適用

 

 

「月の時間外労働が60時間を超える場合の5割以上の割増率」の中小企業への適用

また、直接「時間外労働の上限規制」と関係のない規制ですが、現在は中小企業については適用が猶予されている「月の時間外労働が60時間を超える場合の5割以上の割増率」の適用が近づいてきているため、時間外労働の多い会社では対応を急ぐ必要があります。

この「月の時間外労働が60時間を超える場合の5割以上の割増率」の適用は2023年4月からとなります。

こちらは上で挙げた適用猶予・適用除外の業務・業種関係なく適用となります。

ちなみに、「月の時間外労働が60時間を超える場合の5割以上の割増率」の適用猶予が廃止されると、中企業でも「代替休暇」という制度が使えるようになります(ただし、使う価値があるかは過去記事をご覧いただければと思います。)。

 

まとめ

現在の時間外労働の上限規制の適用状況をまとめると、以下のようになります。

このように、時間外労働の上限規制については、原則全ての事業場ですでに適用済みであるため、今もまだ残業時間が月100時間を超えてるようなところは相当にヤバい、と考えた方が良いでしょう。

今は、社会的な情勢もあって、監督署による事業場への調査もあまり行われていませんが、ひとたびこうした情勢が落ち着いたら、どうなるかは皆まで言わなくても明らかでしょう。

また、時間外労働の上限規制の施行が一段落したこともあり、今後の時間外労働に関する課題は「月の時間外労働が60時間を超える場合の5割以上の割増率」への対応が主なものとなっていくはずです(中小企業に限る)。

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